●オランダ語の基本的な単語を一つ一つ見ていくと、どうしてここでこういう音が出てくるのだろうと訝ってしまうケースがいくつもある。それはとりわけ母音について、英語との比較において言えることなのだが、例えばoor"耳"、hoofd"頭"、oog"目"などに見られる-oo-という母音は、見慣れた英語的観点からすると、どうしてここで-oo-なんだ!と思わずいちゃもんをつけたくなる。
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●この三つの語に対応する英語の単語は、それぞれ言わずと知れたear、head、eyeであり、これらの母音を見る限りでは、唇を丸めて発音する円唇音(oやu)の存在は、陰も形も確認できない。なのに、オランダ語では三例とも-oo-が平気な顔をして居座っているのだ。どう考えても訝らないほうがおかしい。しかしながら、詳細を端折って結論から言えば、実は訝しがるべきは、度重なる不可解な音変化を被った英語の方なのであって、オランダ語の円唇音-oo-の方は、はるか昔の時代にもともと存在していた円唇音の痕跡を留めるものなのだ。オランダ語とは、やんちゃな英語に比べれば、まだ素直な律儀ものなのである。
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●それが証拠に、オランダ語と英語が所属するゲルマン諸語の枠を出て、"耳"、"頭"、"目"について他の言語にそれぞれ同源語を求めてみると、"耳"についてはリトアニア語のausis、"頭"についてはラテン語のcaput、"目"についてはリトアニア語のakis(<okis)/ラテン語のoculusと、いずれも円唇音であるoまたはuの存在が確認できる(どこに?と思われる方は、言語学演習だと思って、我慢強く眺めていただきたい)。ついでだから類似の例を出しておくと、英.east―オ.oost"東"、英.stream―オ.stroom"小川"、英.red―オ.rood"赤い"等も同様に、オランダ語では依然もともとの円唇要素が保たれているが、英語では音変化の結果、それが� �散霧消してしまった例である。
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●オランダ語を知る利点はそれだけではない。例えば、"歯"という言葉はオランダ語でtandというが、これは英語のtoothと比べても、言語界のシーラカンスと言われる(私が言ってるだけだが)リトアニア語のdantis"歯"の方により近い。また、"他の"という言葉はanderというが、これも英語のotherと比べてやはり同源であるリトアニア語のantras"次の"をはるかに容易に想起させる。これらのケースでは、英語において-n-が消失し、その影響で母音の質も変化してしてしまった為全体の印象がかなり違ってきているわけだが、そういう一見些細なことで、私の中におけるオランダ語の占める地位が随分と際立ち、俄然輝きを増したものとなるのだから、や� ��り物事は実際に、じかに接して知るに如くはなし、ということである。
●私は、今までオランダ語などどうせ英語に毛の生えた程度のもので、やってみたところでたいした面白みはなかろうとたかを括ってきたようなところがある。しかし、自らを仲立ちにして、結果として放蕩息子英語の素姓たる印欧語性をよりあからさまに再認識させてくれたその手腕・献身ぶりは誠にあっぱれである。というか、単に私が怠慢だっただけなのだ。ここは深く反省しなければいけない(情けないことに、オランダ語を参照するまで、英語の-ea-が起源的に円唇母音に関係していることさえ意識していなかった)。
●オランダ語という言語を一個の言語として改めて見直すと共に、これまでの注意散漫と思い込みについてこうしてしかと反省させられることもまた、オラン� �語を知る利点の一つなのであった。
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