- 夏の節電―急げ、急げ、もっと急げ
この夏は日本全体で節電に努める必要がある。時間はない。特に電力不足が心配される関西では、国と自治体が連携して直ちに作業にとりかかるべきだ。学者ら第三者による需給検証委員[記事全文]
- IMF拡充―危機の再燃に備えを
欧州危機への対策で、主要20カ国・地域(G20)が協調姿勢を示した。ワシントンでの財務相・中央銀行総裁会議で、国際通貨基金(IMF)の融資枠を4300億ドル広げることで[記事全文]
夏の節電―急げ、急げ、もっと急げ
この夏は日本全体で節電に努める必要がある。時間はない。特に電力不足が心配される関西では、国と自治体が連携して直ちに作業にとりかかるべきだ。
"夜は次のように行きます"
学者ら第三者による需給検証委員会が23日に開いた初会合には、電力各社からこの夏の需給見通しが示された。
節電効果などを盛り込んだ結果、ピーク時の電力不足の幅は昨年11月時点の予想より大幅に縮小した。ただ、関西、九州、北海道の3電力は供給不足となる。なかでも関電の不足率は2ケタ台に及ぶ。
一方で、関電・大飯原発の再稼働をめぐる国と周辺自治体との溝は一段と深まっている。
きのうは橋下徹大阪市長と松井一郎大阪府知事が、藤村官房長官に再稼働手続きの見直しを求めたが、平行線に終わった。京都府、滋賀県とのやりとりをみても、再稼働への理解が得られるめどは立っていない。
ただ、かりに大飯原発が動いても電力は8%以上、不足するという。再稼働と関係なく、徹底した節電対策が不可欠だ。
電気が足りないといっても、1日じゅう困るわけではない。カギはピーク時の対策である。
気象予報や企業活動の実績をもとにすれば、電力需要は前日にかなりの確度で予測できる。想定されるピーク時の情報を共有し、その時間帯に合わせて節電できる仕組みをつくれば、生活や経済活動に与える影響も小さくできる。
関電は翌日の需給予想を3段階で発表するほか、当日に電気が不足しそうな場合、自治体を通じて一斉メールで節電を呼びかけるシステムがある。これをきめ細かく運用し、参加者を増やす必要がある。
音楽を抽出する方法
「ネガワット(節電)市場」も早く整備したい。
電力会社が、事前に節電が必要な時間帯と量、基準価格などを情報公開する。使用量を減らせる企業などが、節電分と希望する売却価格を入札する。そんな仕組みだ。
利用者は、電気代の節約だけでなく節電分を売った利益も手にできる。電力会社も供給の選択肢が広がり、中長期的にはよけいな設備投資をせずにすむ。
大阪府・市も、こうした需要対策に前向きだ。ここは政府も自治体も歩み寄り、需要抑制へ知恵を絞るべきだ。
そもそも節電策の必要性は、昨夏から指摘されていた。急な計画停電や電力制限令で苦労した企業には「この1年、政府は何をやっていたんだ」との不満が募る。このまま、「昨夏と同じ」では許されない。
IMF拡充―危機の再燃に備えを
欧州危機への対策で、主要20カ国・地域(G20)が協調姿勢を示した。
ワシントンでの財務相・中央銀行総裁会議で、国際通貨基金(IMF)の融資枠を4300億ドル広げることで合意した。
当初目標の5千億ドルには届かなかったものの、資金の提供に慎重だった新興国が土壇場で参加を決めた意味は大きい。危機の再燃を封じ込めるため、万全を期してほしい。
最終決着は6月のG20サミットになるが、新興国は資金協力と引き換えに、IMFでの発言力の向上につながる改革を求めている。裏を返せば、欧州の発言権をどう縮小するかという問題だ。欧州首脳は誠意ある対応を示さなければならない。
今回の合意では、日本がいち早く600億ドルの拠出を表明し、呼び水になった。欧州が緊迫すれば再び円高に振れる懸念がある。これを未然に防ぎたいという判断だった。
資金は円売りドル買いの為替介入で積み上がった1兆ドルを超す外貨準備から回る。政府は昨夏から、企業の対外投資を促すため、外貨準備の一部を民間に供給している。円高対策の一環である。
国際金融の安定や不均衡の是正は、円相場の安定に役立ち、世界経済にも貢献する。そんな問題意識から常に外貨準備の活用法を考え、タイミングよく行動する――日本の姿勢と理念の一貫性を示すうえでも、今回の拠出は評価できる。
日本の3倍の外貨準備を持つ中国も、世界経済の安定に生かす道を考えるべきだ。
心配なのは、欧州の情勢が再びきな臭くなっていることである。金融緩和で小康を得ていたが、大国スペインから債務危機が再燃する懸念が出ている。
景気悪化に伴う財政再建の遅れ、労働規制の緩和への国民の猛反発と、ギリシャに似た構図で国債が売られている。
政治も波乱含みだ。フランス大統領選挙では、予想通り第1回投票でサルコジ大統領が後れを取った。ユーロ圏はサルコジ氏とドイツのメルケル首相との二人三脚が屋台骨だけに、先行き不透明感が増してきた。
決選投票と同じ5月6日にはギリシャの総選挙もある。ただでさえ苦難の中にある経済改革に、再び政治的混乱の影が差す恐れがある。
しかし、ここで対策が足踏みしては、金融緩和で稼いだ時間が無駄になる。欧州各国の首脳は、危機に備えた独自の安全網の拡充や財政・経済構造の改革を先送りしてはならない。
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