2012年4月16日月曜日

Favorite Cinema/映画大好き


監督 : ローランド・エメリッヒ
メル・ギブソン  ヒース・レジャー  ジョエリー・リチャードソン  クリス・クーパー  チェッキー・カリョ  リサ・ブレナー  トム・ウィルキンソン 他

映画情報はこちら 

 PATRIOT、「愛国者」を意味している。
 この映画の場合はアメリカの独立戦争が描かれているが本当の意味は「愛する家族のために」だと思う。

 かつては英雄として名を馳せたベンジャミン・マーティン(ギブソン)には18歳の長男ガブリエル(レジャー)を筆頭に7人の子供がいる。彼らの母は亡くなり、ベンジャミンは農夫として働きながら彼らとともに暮らしている。このときのアメリカは英国の圧政に苦しみそして独立戦争が勃発した頃に重なる。

 ガブリエルは若い。開戦に反対する父に反発するように兵士として参戦したいと言うが戦争とは何かを知る父は苦い顔だ。英雄として名を馳せた戦争での盟友バーウェル大佐(クーパー)は血気盛んなきかん坊だ� ��言ったがまさにその通りだ。

 いざ戦地に赴いたガブリエルは負傷して家に帰ってくる。そればかりか英国軍のタヴィントン(ジェイソン・アイザックス)が彼を追い、スパイ容疑をかけ強制連行する。ガブリエルが連れて行かれるのを止めようとしたトマスが殺され、そして家を焼かれたベンジャミンは、眠っていた戦士の血が沸きあがるのを感じる。

  戦争は激しくなるばかり。
  ベンジャミンは民兵を鍛え上げそして仇敵に立ち向かう―――

 この映画で一番幸せな気持ちになるのはガブリエルとアン(リサ・ブレナー)の結婚式。二人の結婚が救いだった。
 そして妻亡き後面倒を見てきた農場主シャーロットとベンジャミンは結ばれる。


医者テーマ2012マレー金

 なのに、なのに・・・!!
  にっくき英国軍!スパイ容疑をかけ連行されていく兄を助けようとしたトマスを殺し、家に火をかけるなんて。
 子供たちの目の前で、残酷で恐ろしいことを。
  子供を目の前で殺された父親の慟哭は業火となり戦士としての技が研ぎ澄まされていく。
 三男ネイサンと四男サミュエルを連れガブリエルを連行していった奴らを狙う。「よく狙え、はずすな」と教え将校から撃て、と。

 その隊列の一番上の階級のものを撃てば良い。
 そして・・・皆殺しにすること。
 復讐を遂げるためには感情なんかいらないのだ。

 めった打ちにしたベンジャミンはどんな思いでいたのか。ガブリエルを救うた� �に血まみれになりそして息子たちの目の前で鬼気迫る戦いを見せた・・・。戦争は、本当に何も生んだりしない。生まれるのは憎しみと悲しみと言った負の感情だけ。

  ジェイソン・アイザックスの悪役は本当にはまる。この映画は悪役もいい!
 英国軍はすべてが悪人ではないけれど、悪の権化のようなタヴィントンほど憎たらしいと思わせる悪役はいないでしょう。
 それにメル・ギブソンの子供を演じた子役たちがとてもよい演技を見せているとおもう。長男は「子役」じゃないけど・・・
 おねえちゃんのマーガレットは妹や弟たちの面倒をよく見ている様子がわかるしトマスが兄を慕っていることや長男の思いも末の弟が父に「いつ帰ってくるの?」と聞くときの表情は胸を締め付けられる。
 私には子供 がいないから親の気持ちと言うのはわからない部分もあるけれど、親が子供を失い、子供を戦地に送る親の気持ちはいかばかりなのか・・・

 戦争にかかわる映画はよく見るし私がこの映画を見るのは二回目なので何が起こるのかはもうわかってる。
 それでも思いはいつも同じ。
 
 戦争は人間の行為で一番愚かな事だ、と。


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 何が国王の道だ、何が正義よ、大儀なのさ、不条理で傲慢な戦争がなくならないのは人間の心はいつの時代も変わらないから・・・

 戦争を描いているとはいえ時々笑いどころがある。ハワードさんが娘を心配するあまりガブリエルに対しては耳が聞こえない振りをする。さらにシーツかな、あれを動けないように縫い合わせて、さらに監視体制を強化すべく扉に聴診器のようなものを当てて奥さんに「大丈夫よ、私のときよりもちゃんと縫い合わせてあるから」なんていわれているし。娘は一枚上手なんだけどね^^
 アンとガブリエルのエピソードだけは幸せなものだよね。唯一ほっとする。

 そして、家族� �守ろうとする父親の姿、残された家族を守る母親たちの強さは格別だ。
 これから幸せになろうとする若い夫婦にも手本となる強く、慈悲深い家族たち・・・

 結婚式の夜ベンジャミンからアンに贈られた亡き妻の形見である北極星のペンダントを美しいと素直に言えるアンの透明な心が私の胸が打つ。ガブリエルが末の妹を抱いて踊るシーンで兄は慕われているんだなと言うことがわかるしその後のベンジャミンとずっと子供たちの面倒を見てきたシャーロットとの愛が成就するシーンは格別だしこの映画で一番幸せなシーンだ。。心を閉ざしてきた末娘のスーザンが別れ際に「パパ、何でもしゃべるから行かないで」と泣いた姿に涙が溢れる。


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  そして最も悲しいのが人々が集まる教会を火にかけると言う卑劣な行為。
  まだ結婚したばかりだったガブリエルが命を落とさなくてはならないなんて。 
  牧師を撃ち殺し、死んだ振りをして返り討ちをするタヴィントン。もう、どこにも良心なんかない。
  
 ガブリエルを失ったベンジャミンの抜け殻のような姿は痛々しい。
 しかし、ガブリエルが縫い合わせていた旗を持って現れたベンジャミンは雄雄しく、そして本物の戦士だった。
 愛するものを失った戦士たちの強さは英国の正規軍よりもずっと上だと思う。黒人奴隷だったオッカムと、彼を最初はさげすんでいたスコットとの和解のシ� �ン、離脱も戻ることも自由だった民兵にあってオッカムは戻ってくる義理はないけれど、彼は戻ってきた。

 マイナスしか生まない戦争の中で生きる、生き残るために戦わなくてはならない不幸は繰り返してはならない。


 ベンジャミンの7人の子供たちの中のちびちゃんウィリアム役のローガン君は「バタフライ・エフェクト」の小さいエヴァン。ベンジャミンの亡き妻の妹であり後に妻となったシャーロットは「チャタレイ夫人の恋人」のジョエリー・リチャードソン。私には見たい人が多い映画でしたね。適材適所の配役にうなりますね。スーザン役の女の子の表情の豊かさも感心するばかり。
 ベンジャミンが揺りイスを作っている冒頭でのシーンのスーザンの子、サウスカロライナの女の子で演技は初めてだったみたいですがスタッフがなんとかご機嫌をとった甲斐があってすごくいいシーンですよ。失敗した揺りイスを投げて壊しているシーンで首を振る姿は怒りをついに鎮めることが出来ますよ� ��。あんな小さな子が「パパ、だめよ」と言いたそうにして首を振ってるとまずいことをしたなと素直に思えるから。
 それにしても、何度見ても同じ場所で涙が出ますね・・・
 
特典映像などもレンタルでかなり入っているのでゆっくり見ることをオススメします。コメンタリー、特殊効果の解説などがありますね。
 コメンタリーをみながらやっぱり同じ場所で涙が止まらなくなってしまう・・・。そのシーンを解説されるから余計に感情移入してしまって大変なことになってしまう。私がこの映画で好きなシーンは特に、コメンタリーのほうがより強調されて感情移入する。
 ガブリエルが死んでしまうシーンでのベンジャミンの感情剥き出しの悲しみに涙しない人はいないと思う。


この映画は決して短い映画ではない。ガブリエルが死んでしまうシーンですらも二時間が経過してからだし、最後の戦闘からラストに向かって進むところだって時間で言えば長いほうだと思うけれどその長さを感じさせない。二時間半以上にもなればどこか中だるみをして退屈なものも多い中この映画にはそんなシーンはない。私にとってはすべてがパーフェクトで説得力のある映画なのだ。大勢のキャストが、それぞれに適役だし重要な役どころには演技で見せる俳優が脇を締める。英国軍の将軍でありながら部下であるタヴィントンにそそのかされ紳士的だったはずのコーンウォリスにトム・ウィルキンソン、ベンジャミンとは戦友のバーウェル大佐にクリス・クーパー、最初は対立を見� ��ていたが次第に盟友として戦うことになるフランス人ヴィルヌーヴにチェッキー・カリョと、すばらしい演技を見せる。まだ若いヒース・レジャーもメル・ギブソンに負けない強さを見せる。コメンタリーをみてすごいな、と思ったのはトマスのことで亀裂のあった父子関係が長男が家庭を持ったことで融解するシーンでのりんごを分け合うシーン。本編を見たときに「なんてそっくりな食べ方!ほんとの親子みたい!」と思ったけれど、アドリブだったなんて。本当にそっくりで食べ方、口を動かしている姿なんて驚きますよ。メル・ギブソンとヒース・レジャーの親子役はいろいろな要素が絡み合ってすばらしかったと思います。

  それにしても大画面で見たかったです。
  エンドロールが終わるまでの二時間五十分は� �っという間ですから。



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